週間ランキング、JTBの決算と「革命」に注目-ワールド航空テニス部も《公式》



大塚和成です!!

2018年11月22日(木)


パンフレット表紙裏の見開き2ページ

[総評] 今週は、JTBの上半期決算が1位になったほか、2位に同社の新事業が入りました。決算については2009年度以来の純損失計上となった一方、後者は「欧州旅革命」をスローガンとした大きな挑戦で、日本の最大手旅行会社の現在地点が浮かび上がるランキングと言ってよさそうです。

 決算は、売上高がクオニイの買収などにより増加したものの、数々の天災やM&Aに伴う費用の増加などにより大幅な減益となりました。通期予想も、5月に示した見通しの実現について自信が示されることもなく、折り返し地点としてはなかなか厳しい様相です。

 また、海外旅行の売上は7.3%増と好調でしたが、分野別で見るとルックJTBが3.7%減となったのに対し、法人営業が14.7%増、メディアが1.9%増と明暗が分かれています。パッケージの不調を法人や個人系の部門でカバーする構図は、JTBに限らず最近の大手各社の月次概況に継続的に見られる傾向で、この辺りの実状もできれば取材していきたいところです。

 一方、第2位の「欧州旅革命」は、シートインコーチ(SIC)の形態で欧州内に混乗の周遊観光バスを定期運行するものです。業界全体でパッケージツアーが醸し出す閉塞感に対して、JTBが男気を見せた、というと表現が不適当かもしれませんが、記事でご紹介した通り色々と考え方を見直し覚悟も決めて挑戦しようとされている印象を受けます。

 効率や市場規模を考えれば、新事業を立ち上げるにあたって英語を前提とすることで土台を確保し、その上で日本人向けのサービスを十分に説得力のあるレベルで整えたくなりそうなものです。しかし、今回は少子高齢化で年々市場が縮小していく可能性の高い日本人だけをターゲットとしたということで、やはり日本市場への覚悟というか思いのようなものが感じられます。

パンフレット表紙

 また、自社だけでは座席を埋められない、というのが実際のところかもしれませんが、それにしても事業の発表段階からJTB色を消して他社の需要を積極的に受け入れていこう、他社も抱えるパッケージツアーの悩みに対してひとつの解決策を提示しようという姿勢に、最大手としてのノブレス・オブリージュ的な精神を感じるのは贔屓目でしょうか。

 同じ文脈では2009年の 安売り競争からの撤退宣言や 翌年の「ルックJTBの決心。」も思い出され、それに対する評価は人それぞれだと思いますが、反感ややっかみ、あるいは批判があったとしても、何もしなければ何も起きないわけです。JTBにしか言えないこと、できないことは確実にあり、日本人的、大衆的な心情でしかないかもしれませんけれども、業界の盟主であるJTBにはそういった役割を今後ますます果断に果たす存在であってほしいと願ってしまいます。

 やたらと持ち上げているように見えるかもしれませんが、実際には「もっと滅私奉公でお願いします」と言っているようなもので、むしろJTB関係者の皆様からすると不愉快な内容かもしれません。しかし、そこも含めての最大手であるとできれば広い心でご寛容いただけますと幸いです。

 さて、今週はこのほか、第7位にワールド航空サービスのテニス部が日本リーグに昇格したというニュースがランクインしており、いかにも業界誌的だと感じています。当欄に登場するとは思っていなかったので若干苦笑してしまいましたが、一般消費者の関心も反映される当サイト右側中段のランキングには入っておらず、これが業界関係者の純粋な興味であることはほぼ間違いありません。

 日本リーグというのは実業団チームの最高峰だそうで、不勉強ですがおそらく簡単に昇格できるものではないのでしょう。仕事の時間と日常と両方そろっての社会人生活であり、こうした部活動も会社や人によっては人生の大きなウェイトを占めているということと思われます。業界誌として、業務に直接関わる話題にばかり気を取られてきましたが、もう少し視野を広く持って様々な話題に目を向けてみる必要性を気付かされました。(松本)

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